
がん患者さん向けの食事療法では大抵、玄米を勧めています。
糖質が多いとはいえ食物繊維やミネラルが豊富なので、解毒効果もありがん患者さんだけでなく糖尿病の心配のある方や低血糖症の方にも良い食材です。
玄米は白米よりも旨みが強く感じられて美味しく栄養豊富なのです…が、玄米には幾つか注意したい点があります。そこで3つの注意点をまとめてみます。
- 「発芽抑制因子(アブシジン酸)」による細胞毒性
- 食物繊維が多すぎて消化が悪い
- 残留農薬・放射性物質の心配
Ⅰ、アブシジン酸による細胞毒性
玄米にはアブシジン酸という有害物質が含まれています。元・東京大学医学部口腔外科教室講師、西原克成医博は、「アブシジン酸(ABA)はミトコンドリア毒なので、玄米食には注意が必要である」と警告しています。
ミトコンドリアとは細胞内のエネルギー工場です。ミトコンドリアが悪影響を受けると、エネルギーを作り出せなくなり、低体温、不妊、ガン、さらには全ての体内酵素の働きが鈍くなるという問題が起こり、免疫も低下します。
厳格な玄米食をしている人の肌につやがなく、色黒なのもそこに理由があるようです。
(詳しくはこちら→http://alter.gr.jp/Preview2.aspx?id=7861&cls)
とはいえ、アブシジン酸(発芽抑制因子)を無毒化するのは簡単です。8時間以上水に浸してほんのちょっと発芽させておけば良いのです。翌朝炊けるように前の晩から浸水してタイマーをかけておくと簡単ですね。
*発芽玄米を作って炊くことが出来る専用の炊飯器も販売されています。
Ⅱ、消化が悪い
特に多くの栄養を必要としているがん治療時に消化吸収の悪いものを食べるのは良くありません。
実のところ、もともと消化する力が弱いという方も多い事でしょう。その状態で無理に玄米を食べると胃腸を壊してしまう事があります。
”100回噛みなさい”なんて言われるのですが、正直そんなに噛む元気がなかったり、元気な人は時間がなかったり…。
フィチン酸や食物繊維が鉄や亜鉛などの重要なミネラルを排泄してしまうという説もあり、それも難点です。特にガン細胞は貧血状態を好みますし、実際多くのがん患者さんは貧血です。それを考えると鉄を排泄してしまうということは避けたいのです。
それで胃腸の弱い方、貧血のある方にはあまり積極的には勧めていません。
Ⅲ、残留農薬、放射性物質の心配
胚芽部分には栄養が詰まっているので、胚芽米を食べるという方もいらっしゃいます。ぜひそうしたいところですが、胚芽には農薬や重金属また放射性物質も集まっていることを忘れてはいけません。
ですから、玄米や胚芽米を食べる際、それが無農薬米でなければ、毒も一緒に食べているようなものなのです。玄米を食べるなら、無農薬の玄米を選ぶというのが大前提です。
まとめ
- 8時間浸水して発芽させる
- 胃腸の弱い時、貧血が進行している時は無理して食べない
- 無農薬のものを購入する
上記の3点をクリアして玄米を食べるのは良い事だと思います。
無農薬の玄米が手に入らないとか発芽させる時間がないとか、消化力が落ちていると言う方は無理に玄米にしなくても良いと思っています。
ミネラル補給のために白米に雑穀を混ぜるとか、血糖値の調整のためにマンナンライス(コンニャク)を混ぜるというのもアリです。
”玄米さえ食べていればよい” というこだわりが強すぎて、本当に玄米ばかり沢山食べる方は、実際は糖質の摂りすぎに陥っていて、逆にタンパク質やビタミンB12などが大幅に不足しがちです。中性脂肪も上がり実は血液ドロドロだったりします。イメージと随分違いますね。
ガン細胞は糖質だけをエネルギーとして成長しますので玄米に頼りすぎた食事は決してバランスが良いとは言えません。何事も偏り過ぎず、美味しく健康になることを目指したいですね。