がん患者さんはとにかく痩せないようにしたい。カヘキシア(がん悪液質)を避けたいのです。
「がん悪液質の概念と最近の動向」という資料によると、、、
栄養サポートによって、栄養不良の進展を遅らせ たり、他の原因による栄養不良を改善させたりすることが可能となり、これにより 抗がん治療への耐用性を向上できるものと考えられるようになった。
・・となっていますが、皆さんのお話を聞かせていただいている感じでは、そのサポートを実行している医療機関は少ないというのが現実の模様・・(^ ^; 栄養対策は今のところ自己責任のようです。
カヘキシアが進行していないかチェックし、治療に耐え、薬や栄養を運ぶためにも、ぜひ見ておきたい血液検査データの項目があります。
それは・・・血清アルブミン値です。
血清アルブミンでは血液中のタンパク量を見ています。血清中には多くのタンパク質が存在していますが、血清アルブミンはその50〜65%を占めるからです。
医療的にはアルブミン値は3.5g/dlくらいあれば大丈夫という認識のようですが、分子栄養学では4g/dlを下回らないことを目指します。
アルブミンは運搬タンパク質でもあるので、アルブミン値が低くなるとせっかく摂った栄養も薬も運べません。ただでさえたくさんの栄養を必要とし、しかも薬も使っている状態ですから、薬を効かせるためにもアルブミン値は下げないようにしていきたいわけです。
(薬でアルブミンを消耗してる部分もあるので不必要な薬は排除したい)
ただ、厄介なのは、血液濃縮や溶血、B6不足でデータが高めに出ることがあるという点。
あまり食べられていないのにアルブミン値が高いこともよくあります。
食べてないのに4.5とか4.6などの時は、マスクがかかっていると考えています。
さて、アルブミン値が4を切ったらどうしましょう。
アルブミン値を上げる対策
手っ取り早いのは、プロテインを摂ることなのでしょうけれど、現実には弱っている方はプロテインを消化吸収できない事が多いです。ですから、摂るならアミノ酸の形がおすすめ。
また、栄養療法ではアルブミン値が下がっている人にBCAA(バリン・ロイシン・イソロイシンのアミノ酸サプリ)をよく使います。
がん細胞に筋肉を壊されている可能性が高いので、BCAAの筋肉の合成促進・分解抑制の力を借りたい訳です。
BCAAは筋肉を構成する必須アミノ酸の35%を占めています。また体内で必要とされるアミノ酸の40%がBCAAです。
BCAAはバリン・ロイシン・イソロイシンの比率も大切です。
特にロイシンは筋肉の成長スイッチ(mTOR)をオンにすることで筋肉合成を促進し、同時に筋肉が分解されるのを抑制(オートファゴゾーム形成阻害)してくれます。
そういった理由で、バリン1・ロイシン4・イソロイシン1の比率のものが良いと言われるようになってきています。(多くは1:2:1の比率です。)
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BCAAだけでアルブミン値は上がらない
BCAAは9種類の必須アミノ酸のうちの3種類だけ。BCAAだけでアルブミン値を上げるのは優しくないようです。ですから、体を構成するアミノ酸をしっかり摂るためアミノ酸サプリもプラスして使った方が効果的なようです。
つまり、BCAAとアミノ酸、両方使う方が良いという事です。
さらに、残念ながら、カロリーが不足した状態でBCAAを使ってもあまり上手くいかないようです。なぜならBCAAは糖原生アミノ酸で、糖に代謝されて消費されてしまうからです。
食事が十分できない状態になってきて、カロリー摂取が不足していると、せっかく摂取したアミノ酸が糖新生に使用され、アミノ酸合成には使用されないという訳なんです。
筋肉は基本的に糖からエネルギーを得ていますが、糖が不足した状態の時は筋肉からBCAAを壊してグルタミン酸そしてアラニンを生成して糖を取り出します。筋肉から糖を作ることを糖新生と言います。
ですから、糖新生に使われてしまわないように、BCAAを糖と一緒に摂ると良いということになります。
例えば、フレッシュジュースと一緒に飲むようにすれば簡単ですね。
がん患者さんはとにかく糖を避けるように心がけておられるかと思いますが、体は糖質も必要としていますので、筋肉を落とさないためにも糖を上手に利用する必要がありそうですね。
低アルブミンが引き起こす不安感
がん細胞によって血中アミノ酸バランスはどうしても崩れがちになり、グルタミン、セリン、グリシン、トリプトファンの消費が亢進します。
この中でも特にトリプトファンに関しては、アルブミンと結合して運搬されるので、アルブミンが低値になることでトリプトファンも必要な所に運ばれないということになってしまいます。
トリプトファンは代謝が進むと、セロトニン→メラトニンになります。
セロトニンは体を動かし、やる気や幸福感をもたらすホルモンですから、これが不足すると・・・不安感に襲われたり、なんで私ばっかり・・という不幸な気分、悲しい気持ちが大きくなります。要はうつ状態になってしまうんですね。
また、メラトニンは眠りに必要なホルモンです。メラトニンが不足すると睡眠障害が起きてしまいます。
寝付けない、夜間目が覚めてしまう、早くに目が覚めて眠れない。。。。
がん患者さんのみならず、睡眠障害に悩む方は非常に多く、日本人の5人に一人が不眠症だそうです。
ストレスを抱えやすいせいだと言われますが、それだけではなく、タンパク質の摂取量が少ないからというのも要因としてあるのではないかと思います。
まとめ
今回は、カヘキシアに至らないためにサプリメントでアルブミン値を維持する方法として、BCAAのより効果的な使い方をまとめてみました。
BCAA+アミノ酸+糖質
というセットが効果的ということでした♪
また、単に病気によって不安感が増すというだけでなく、低アルブミン→トリプトファン不足でうつ状態になるということもわかりましたね。
身体も気持ちも元気!ハッピー♪でいるために栄養対策は大切ですね!
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