がんの原因は「ミトコンドリア機能障害」にある?!
ということで、前回はミトコンドリア機能障害と細胞のがん化の関係をざっくりとまとめてみました。
Contents
ちょっとおさらい
ミトコンドリアとは、細胞内にあるエネルギー工場です。
お仕事としては、
・エネルギーを作る
・小胞体と共同して体タンパクリサイクルに関与(オートファジー)
・傷ついた細胞を自滅させる「アポト-シス」にも関わっている
この作業はどれも、うまく出来ないと細胞がガン化することに繋がってしまいます。
だからミトコンドリアに気分よくお仕事してもらえるような体作りが大切なんですね。
それを踏まえて今回はミトコンドリア機能障害を改善するための5つの方法をまとめてみます。
1、活性酸素対策
ミトコンドリアではエネルギー生産する際に活性酸素が発生しやすいのですが、ミトコンドリアDNAは、核DNAの10倍も活性酸素に弱いため活性酸素対策が必須です。
活性酸素と言っても、様々な種類があります。
・スーパーオキシドラジカル
・過酸化水素
・ヒドロキシラジカル
・一重項酸素
「活性酸素」というと悪いイメージがありますが、基本的には生体を守る働きをしています。特にスーパーオキシドラジカルは、ウイルスや細菌を攻撃してくれます。(多すぎると体も攻撃しちゃうけどね)
ここで活性酸素について詳しくは語るのはやめておきますが、
問題となるのはヒドロキシラジカルです。最悪、最強。スーパーオキシドの100倍酸化力が強い。
ですから、活性酸素と一口に言っても、ヒドロキシラジカルを何とかする事が必要なのです。
ヒドロキシラジカルを消去するとして今大変人気なのが水素水です。
水素水に関しては、多くの研究結果が発表されていますが、かなりの賛否両論あるようです。
触ると火傷しそうな勢いなのでこれくらいにして…。
その他、ヒドロキシラジカルを消去するとされる栄養素は…
- ビタミンC、E、A
- コエンザイムQ10
- アスタキサンチン
- DHA/EPA
などがあります。
ぶっちゃけ、ビタミンCを沢山摂るのが一番手っ取り早いし安価です。
しかし何と言っても、ヒドロキシラジカルが発生する要素を減らすのがまずは優先的に行なうべき事ですよね。
食生活:食品添加物、早食い(噛まない)、食べすぎ、過度のアルコール、糖質過多、野菜不足
生活面:過度のストレス、運動不足、日光不足(ビタミンD欠乏)、汚染された空気、放射性物質、電磁波…
結局、誰でも知ってるような健康的な習慣はミトコンドリアにとって良い事でもあることに気づかされますね。
「そんなの知ってるょ~」ではなく、「やってるょ~♪」と言えるようにしたいものです。
2、エネルギー作りに必要な栄養を入れる
ミトコンドリア内には「クエン酸回路」とか「TCA回路」というエネルギーを作り出すためのシステムがありますが、この回路を回転させるには、ビタミンB群や、マグネシウムなど様々なビタミン・ミネラルを必要とします。
一番大きなエネルギーを作っている「電子伝達系」では、ビタミンB3、CoQ10、鉄を必要とします。
ガソリン車が、ガソリンを使って動くにはエンジン内で空気とガソリンが混ざり⇒電気で発火して爆発という回路があるのと同じですね。
もしガソリンはあっても空気がうまく混ざらなかったり、発火しなかったりするとエネルギーに変換されないので車は動きません。
それと同じで、体もエネルギーを作るには「クエン酸回路」で様々な栄養素の協力を必要とするのです。
「疲れが取れない…」という人は、ミトコンドリアの機能を上げるために、まずはビタミンB群の多い豚肉やマグネシウムの多い野菜(マメ、かぼちゃ、ほうれん草…)を意識的に摂ってみると良いかもしれません。
食事で追いつく状態ではないなら、ビタミンB群、キレートされたマグネシウムなど、質の良いサプリメントを使ってみて下さい。
ただ、ビタミンB群や鉄は腸から吸収します。ですからまずは腸内環境が良くなければ始まりません。
腸内環境改善は次の項目に関しても必須条件になります。
3、TCAサイクルを邪魔するものを排除する
重金属や化学物質、特に水銀、ヒ素、フッ素などは、TCAサイクルの酵素反応を阻害します。
ですから重金属や化学物質を取りこまないようにするのが一番です。
・水銀:マグロなど大型魚を避ける、予防接種をしない、歯の銀色の詰め物(アマルガム)の除去
・ヒ素:ヒジキを食べすぎない、農薬は極力少なく(特に玄米は無農薬を)
・フッ素:歯磨き粉のフッ素入りは買わない、歯科で塗らない
しかし、既に重金属が体内に蓄積されていたらどうすればいいのか…ですよね。
水銀は通常は4カ月くらいで排泄されますが、出来ない人は腸に問題がある人です。
まずは乳酸菌、グルタミン、ビタミンAなどで腸内環境を改善しましょう。
4、食べすぎ厳禁(断食が有効)
ミトコンドリアを元気にする為には断食が有効と言われます。
なぜそう言えるのか…それはオートファジーが大きく関係しています。そんなの初めて聞く?はい。私も最近知りました。
(難しいのでここ、読み飛ばしてもらっていいんですが…笑)
小胞体とミトコンドリアの接触部で「オートファゴゾーム」が表れ、タンパクをのみこみ、またタンパク質を作る、…なんて、ビックリすることが行なわれているのです。
これをオートファジー(自食作用)と言います。
自分のタンパクを食べてリサイクルする「オートファジー」。これに様々な要因でもたつきますと、ストレスが生じミトコンドリアは弱りますし、同時に腫瘍ができやすくなると見られています。
オートファジーとミトコンドリアの関係はもう一つあります。
ミトコンドリアが元気で働いてもらうには細胞内の環境はクリーンな方がいいですね。なんと、細胞内にはお掃除システムがあります。それもオートファジーの役割です。
オートファジーか十分機能していないと、細胞内にゴミが溜まってしまいます。このような悪環境下では、ミトコンドリアはATPを作ることが出来なくなるだけでなく、不良ミトコンドリアが活性酸素をまき散らすような状態になると推測されています。
活性酸素の過剰産生が続くと、核ゲノムのDNAも損傷をうけてしまいます。結果的に腫瘍が形成されてしまう…ということになるのです。
細胞内をクリーンに保つオートファジーがしっかり機能するにはどうすればいいかというと…それが「断食」なのです。
オートファジーは、元々は飢餓の際に、やむを得ず自分自身を過剰に分解して栄養素を作る、細胞内リサイクル機能です。
だから、体が飢餓状態になると「おっしゃ~~!!」と、ガンガン働き出すのです。
オートファジー機能を回復させるには、断食!!
…とはいえ、体力の落ちたがん患者さんが自己流の断食をするのは自殺行為になる場合もあります。
栄養状態を見ながら指導してくれる、実績ある専門家の指導の元で行なうことをお勧めします。
よくある酵素ダイエット系の断食(ファスティング)は、単に置き換えダイエットです。栄養状態が悪化する心配があるためお勧めできません。
がん患者さんにいわゆる”酵素ドリンク”をお勧め出来ない理由はコチラ
しかし…昔から、腹八分が健康に良いと言われていたのは、こういう細胞の仕組みが関係していたんですね~。昔の人ってすごいですね~。
まずは、普段から食べすぎないことが肝心ですね!
(参考資料:細胞が自分を食べるオートファジーの謎 水島昇著 / PHP)
5、運動でミトコンドリアを活性化
ミトコンドリアを使わないと、活発な分裂も起きにくくなります。(廃用性萎縮)
ミトコンドリアが多い所は筋肉です。ですから、ミトコンドリアを増やすには運動が必要です!
・背筋を伸ばして背中の筋肉を使う
・意識的に階段を利用して筋肉を使う
・おしゃべりがちょっときついくらいの速度でのジョギング…
そんな簡単な事で良いのでやってみましょう。
「ホノルルマラソンを走ってがんが消えた!」という話を聞きますが、ミトコンドリアとの関連を考えると運動の効果は絶大な訳ですね。
(激しい運動は、活性酸素を増やすのでNGです)
他にも体温が37度くらいだとミトコンドリアが活発になるので、体温を上げる工夫もしていきたいですし、ミトコンドリアのATP生産に酸素が必要なので深呼吸で全身に酸素を届ける…なども意識したい所です。
どちらも運動がプラスに働きますね。
ミトコンドリア機能を改善する5つの方法をまとめると、こうです。
1、抗酸化(ビタミンC,E,A,DHA/EPA)
2、TAP生産に必要な栄養素を摂る(ビタミンB群、Mg他)
3、重金属の排除―腸内環境の改善
4、断食(専門家の指導のもとで)
5、運動
ミトコンドリアは細胞内の器官。
まだまだ解明されていないことが多くありますが、これまで言われていた”健康に必要な事”が裏ずけられているだけのような気もします。
健康を保つために必要な事って、特別な事でも難しい事でもないようですね。
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