動脈硬化の原因として、悪者扱いのコレステロールですが、実はコレステロール値が「低い方」が、 がん死の確立が高い事が分かっています。(過去記事はコチラ)

 

分子栄養学では、コレステロール値を栄養の指標として見ています。なぜならコレステロールには生きていく上で重要な役割があるからです。

この記事では、コレステロールにはどんな大切な役割があるのか、また、LDLコレステロールが悪さをしないようにどのような対策ができるかをまとめてみます。

 

コレステロールの役割

神経・筋肉・赤血球・皮膚・内臓に多く、なくてはならない

全身のコレステロールの1/3は脳を含む神経系に集中しています。脳はその半分以上が油です。神経細胞間のやりとりをスムーズに行うためにはコレステロールが欠かせないのです。

 

不足すると、脳内の神経伝達がスムーズにいかないことで、うつ症状や物忘れ、言葉が出てこない「え〜っと、・・あれ!・・あれよ!」という状態になります。

やたらとスローな喋り方をする方はコレステロール低いのかな〜なんて思ってしまいます。

人付き合いも億劫になるので、引きこもりがちになってしまうこともあります。

 

細胞膜の主な材料

細胞膜の材料も脂質です。60兆個の細胞全てが油の膜で覆われています。この膜が上等でないと、不要なものを細胞内から出したり、必要な栄養を取り込んだりすることができなくなります。

その結果、がんにも糖尿病にもなりやすくなるのですから、細胞膜の成分であるコレステロールは超重要です。

 

ホルモンの働きに関与

性ホルモンや副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモンを作る材料にもなります。

ということは、不妊症の方ももしかするとコレステロール値が低いことが原因の一つかもしれません。

また、ホルモンバランスが崩れることでうつ症状が出ることもあります。

 

胆汁酸の材料(油の分解)

胆汁は油の吸収を助けてくれます。コレステロールが少なくて胆汁が十分作れないと単に油物で胃もたれするだけではすみません。

油性ビタミンも吸収できなくなってしまいます。油性ビタミンというと、ビタミンA,E,D,KやコエンザイQ10です。

特にがん予防の観点からすると細胞核の参加を防ぎ細胞分裂を正しく誘導するビタミンAの吸収が悪いのは大きなマイナスです。

また、コエンザイムQ10が少ないと、電子伝達系が回らないので疲れやすくなりますし、心臓も弱り、老化も早まります。

 

ビタミンDを体内で作る材料

これまで骨のためのビタミンという認識が強かったVDですが細胞の分化を調整し、免疫力を高めるため抗がん作用のある栄養素の中心と言われるようになっています。特に乳がんや大腸がんの予防に有効と見られています。

 

D濃度とがんリスクに関して様々な研究が進んでいます。

血中ビタミンD濃度とがん罹患リスクについてー多目的コホート研究

 

血中ビタミンD濃度を上げるためには、日光に当たることを意識するだけでなく、コレステロール値を意識することも必要なようですね。

 

 

本当の敵は何か

健康において敵を見間違う事は、命取りになります。生命になくてはならないコレステロールを、敵視する事はそのひとつです。

 

「でもLDLコレステロールが高いと、血管にプラークが溜まって動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞になるでしょ〜〜!!」

 

と思いますよね。でも、LDLは必要って話でしたから、本当の問題は何なのでしょうか。

 

問題になるのは 酸化です。

 

コレステロールは脂質なので「酸化しやすい」という特徴があります。

LDLコレステロールを悪玉コレステロールと表現されますが、実際問題になるのは、LDLそのものではなく活性酸素によって酸化した酸化LDL」だったんですねー。

 

大切なのはLDLが酸化しないように、しっかり抗酸化物質をとっておくことなのです。

 

結局どうすればいいの?

抗酸化力の高いものをとっておこう!

例えば抗酸化で代表的なのはビタミンA、C、E、DHA/ EPAです。

野菜や果物、肉、魚、豆類どれもバランスよく必要ということになります。

個人的には、バイオ・ノーマライザー(グリーンパパイヤの発酵食品)を酸化対策として使っています。

 

血液検査で気にするべきは??

血液検査でマークするとすれば、中性脂肪(TG)です。

中性脂肪が  150mg/dl  より上 だと高脂血症になり注意が必要です。

 

中性脂肪を高くする大きな要因となるのは糖質の摂り過ぎです。

スイーツ、お酒、白いご飯、うどん、ラーメンが大好きな人は気をつけたいところです。既に、動脈硬化が進んでいるかもしれません。

そもそも糖質の摂りすぎはがんリスクも上がります。

 

●脂質の管理に欠かせないのは?

中性脂肪、コレステロール共にちょっと高すぎかも〜という方はどうしたら良いでしょうか。一言で言うと必要なのは「運動と野菜」です。

 

LDLコレステロールは肝臓で作ったコレステロールを運ぶ係で、余っているコレステロールを回収する係がHDLコレステロールです。だったら、HDLを増やして回収してもらうと良いですね。

 

HDLを増やすのに必要なのは運動です!階段を使うように意識したり、バスを手前で降りて歩いたり・・日常的に運動を心がけましょう。

 

食品で必要なのは食物繊維です。腸に溜まった不要なコレステロールを食物繊維にからめて排出してくれます。食物繊維が多いのは野菜やキノコ、海藻類です。

 

コレステロールというと肉や卵が悪者扱いされますが、(もちろん食べ過ぎはいけません)実際は野菜の摂取量が少ないことが問題なのかもしれませんね。

 

コレステロールというと肉や卵を減らそう!という話を聞くことが未だにあるかもしれませんが、厚生労働省も、動脈硬化学会も、「食事で体内のコレステロールは変わらない」という声明を発表しています。

栄養はしっかり取りながら、動脈硬化リスクはあげないように野菜・海草をしっかり取りたいですね!

 

e-ヘルスネット(厚労省)
LDLコレステロール 

 

今回の話をまとめると、、、

 ・コレステロールを下げると不健康になりがん死を招きやすい

・敵はコレステロールではなく、油が酸化すること

・酸化しないように抗酸化物質をとるべし

・血液検査では中性脂肪を気にしよう

・不要なコレステロールを出すには野菜、海藻を食べよう

 

ぜひ実践してみてください。

 

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