分子栄養学を実践するクリニックでは、ガン患者さんを含めまず口の中をチェックされることがあります。

歯の詰め物にアマルガムが使われていたら、栄養療法を始める前に取ってきてもらうためです。アマルガムが入っていると、いくら栄養療法をしても効果が出ないからです。

 

アマルガムとは?

アマルガムとは、水銀を含む歯科材料です。アマルガムは安価で、加工が容易で殺菌性に優れるという理由で1980年代に歯の詰め物によく利用されていました。

 

もちろん患者さんを水銀中毒にしようなんて考えていたわけではなく、当時はとても良い歯科材料だとしか考えられていなかったのです。以前は梅毒の薬としても使われていましたし、「安全」という認識だったのです。

 

 

アマルガムは水銀を50%含む金属からできています。
あとは銀が35%、すず9%、銅6%さらに少しの亜鉛という構成だそうです。

 

水銀は沸点が低く、25度で沸騰・気化します。また少し擦っただけでも水銀蒸気が放出されます。

この動画↓を見ると、その様子がよくわかりますね。

 

ということは、暖かいものを食べたり、飲んだり、ガムを噛んだり歯磨きをしたりするだけで体内に少しずつ水銀が入っていくことになるのです。怖いですね。

 

だからと言って、食べたり飲んだり歯磨きしたりしない訳にはいきませんから、アマルガムの方を取ってしまった方がいいですね。

 

思わず自分の口の中を鏡でのぞいてギョッとしている方もいらっしゃるかもしれませんが、その多くは銀歯かもしれません。アマルガムは銀歯と違って鈍い色をしています。詰め物が何でできているのか、かかりつけの歯科医で確認してみてください。

画像:いぬい歯科様 http://www.inui-dc.jp/blog/post-15/

 

ちなみに、銀歯パラジウム合金もアレルギーテストで半数は反応が出るらしいので、取れるなら取った方がいいのかもしれません。銀歯は電磁波過敏症の原因にもなっています。

 

水銀によってどんな症状が出るのか

水銀の害はあまりにも多くあります。ほとんどの代謝を阻害するので、ありとあらゆるところに影響があると言っても過言ではないくらいです。

 

水銀が蓄積している人の症状としては、ざっくりと以下のようなものがあります。

 

疲れやすい、集中力がない、筋肉痛、関節の痛み、頭痛、不眠症、うつ症状、パニック障害、アトピー、胃腸障害、慢性疲労、頭に靄がかかった感じ、攻撃的になる(ヒステリー)、記憶障害、不安、不整脈、自閉症、不妊症、ホルモンバランス異常、性欲減、視力・味覚・嗅覚の低下、免疫力の低下・・・

 

水銀は特に脳に溜まりやすく、神経毒になるのが怖いところです。ALSやパーキンソン、発達障害、ADHDも水銀(&鉛)が関与していると考えられています。

 

余談ですが、水銀が体内に入る他の経路としては、一番多いのが大型魚(マグロ、ブリ、クジラなど)そして、ワクチンに添加されているチメロサール、PM2.5などがあります。

歯にアマルガムが入っていないとしても、生活の中で体に入ってきますから、排泄力が弱い人は溜め込んでしまう可能性が十分ありますね。

 

がんとアマルガムの関係

私の師匠である宮澤先生のクリニックではガン患者さんでもまずはアマルガム除去してもらうのですが、例えばこんな例があります。→53歳 乳がんの方

 

なぜ、栄養対策をする前にアマルガムを外してきてもらうのでしょうか。理由は次のようなものです。

水銀は代謝を阻害するから

それは前述したように水銀はほとんどの代謝を阻害するからです。水銀蓄積があるといくら沢山のサプリメントを摂っても効かないのです。

 

水銀は

・エネルギーを作る回路を阻害し

・酵素活性を阻害し

・ミネラル輸送障害を引き起こす

 

こうしてがっつりミトコンドリア機能障害を引き起こしてしまいます。

 

しかし細胞内のミトコンドリア機能を改善し、正常にエネルギーを作ったり、解毒したりできる状態にすることが、「がん」という病態には必須です。

 

ですから、水銀のような代謝阻害となっているものをクリアしておくことは、第一にするべき対策ということになります。

 

画像:分子栄養学実践講座 https://medium.com/orthomolecular/ミトコンドリアを動かす栄養素-98f91e32e48f

 

腸内環境が悪化するから

 

腸には免疫細胞が集中しており、免疫の教育の場でもあるため、がん対策に腸内環境の改善は欠かせないことはすでにご存知の通りです。

 

水銀は腸カンジタとも関係が深く、腸内環境を悪化させる大きな要因になります。

水銀は善玉菌を攻撃し、悪玉優勢の環境になることでカンジタ菌が増殖します。

また、水銀は消化酵素を不活性化しこれも、カンジタ増殖に繋がります。

同時に、カンジタは水銀を溜め込むので体外に排泄されにくくなり体に長く止まることになります。

 

何れにしても、水銀に暴露していると腸内環境が悪化し免疫が低下するという悪循環が止まらないのです。

 

いくら栄養療法をしても効果が出ないという人は、この悪循環にはまっているのかもしれません。重金属蓄積をチェックしてみるのは大切です。

 

チェックする方法

 

体内に水銀を含む重金属がどれくらい蓄積されているのか見る方法がいくつかあります。

 

○排泄力を見る検査

排泄量から蓄積量を推察するのが以下のような検査です。

  • 毛髪ミネラル検査
  • 尿金属ミネラル検査
  • 便中重金属検査

 

蓄積量を見る検査

各ミネラル特有の波長を特殊な装置で読み取ります。

  • オリゴスキャン

 

 

上記の写真は私の毛髪ミネラル検査の重金属の部分です。髪は重金属の排泄経路となっているので、どれくらい重金属を排泄する力があるかを見ています。

 

見にくいかもしれませんが、水銀が黄色ラインまであって、”水銀多いんだな”ってことがわかります。でも実は私はこの時まだ歯にアマルガムが一つ入っていました。それを考えると赤のエリアまで振り切っていておかしくないのです。なのにこの程度しか毛髪に排泄されていないということは、逆に”排泄能力が低く、体内に水銀が蓄積されているんじゃないか”と推測できる訳です。

 

アマルガムの除去方法に注意!

外からの見た目ではアマルガムが入っていることを確認することができないことがあります。それはアマルガムの上にさらに被せ物がされている場合です。

 

そのような場合は水銀ガスメーターなどの機材を用いて、正確にアマルガムがあるかどうか調べてもらう必要があります。

 

さあ、アマルガムがあることがわかり、しかも重金属が蓄積されてることも明白!となると迷わずアマルガム除去しよう!!ということになります。

 

しかし、ここで注意が必要です。アマルガムを除去する時が最も水銀に暴露する危険が高まるからです。不用意にアマルガムを削れば水素ガスだけでなく、削りカスそのものをゴックンと飲み込んでしまうこともあります。

 

ですから、安全なアマルガム除去をしてくれる歯科医院を探さなくてはいけません。「安全なアマルガム除去」とウェブ検索してご自宅の近くで実施しているクリニックを見つけてください。

 

 

私もあるきっかけでアマルガムが入っていることが判明しまして(汗)

ガーーーーん!!!(゚д゚lll)

となりましたが・・心当たりは十分ありました;

栄養に気をつけている割にイマイチな原因がわかってホッとした部分もあります。

 

安全なアマルガム除去は、自費になりますので20,000円以上はします。痛い出費ですが、いつも人に言ってることを自分がしない訳にも行きませんので、これは良い経験をするチャンスを頂いたと考えて、早速「安全なアマルガム除去」をしてきました!

 

私が伺ったのは福岡県宗像市の大林歯科小児歯科です。かなり人気の大きい歯科医院でした。実施してくださったのは優しい女医さんです。

 

写真を見ていただくとわかるように、歯科医師や助手の方も水銀に暴露しないように防護マスク、防護服、ゴム手袋などを着用しています。暑くて大変そうです。

 

私も全身に保護カバー、顔にドレープ、口にはラバーダム(ゴム製)をつけています。

また、開始前にはビタミンCの点滴をしてもらいました。もしも水銀が入ってしまった時に体内で発生する活性酸素を取り除くためです。

治療後も水銀を排泄しやすくするサプリメントなどを処方されました。

 

こうやってかなり大掛かりな準備のもとアマルガムを除去することで、患者・医師スタッフの身を守ることができます。

 

ただ、体内から毒素を排泄できない状態では実施しない方が良いとされています。

水銀は9割が便から排泄されますので、便秘していないことが大前提です。

 

便秘や下痢、鉄欠乏性貧血やタンパク不足、機能性低血糖症がある場合は、栄養療法の主治医や歯科医師と相談しながらアマルガム除去を検討なさってください。

 

がんとうまく付き合う為の第一歩が口から始まるというのは意外だったかもしれません。

でも考えてみると、口は栄養吸収の入り口ですからさほど意外なことでもないのかもしれませんね。

 

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