がんでお腹に水が溜まっていくのは辛いものです。
圧迫されて、食欲もなくなってしまいますよね。クライアントの60歳のお母さんが、腹水によってお腹が妊婦さんのように大きくなってしまったのを初めて見たときは、私も正直かなりショックでした。
きっと、それを見守るご家族もどんなにかお辛いことかと、胸が痛みました。
がん性の腹水が溜まった時、まずは利尿剤を用いて尿で水分を体外に出そうとされます。
しかし中には効果がない方もいらっしゃいます。
食欲があるのであれば、いっそのこと抜いてしまうのも良いのかもしれませんが、そこは医師の判断にまかされます。
腹水を抜くと体力が弱ることがあるのでぎりぎりまで我慢してもらう方針の先生も多いと思います。
腹水を抜くと弱るのはナゼ?
医師に「苦しいから腹水を抜いてほしい」とお願いしても、「弱るからダメ。」と言われるのはなぜでしょうか。
それは、このお水の中にアルブミンや免疫グロブリンといった
重要な栄養素が含まれるからです。
栄養まで抜けることで、免疫力が落ち、さらに弱るということです。
しかし、まだ体力、食欲があるなら、腹水を抜くことで、また食べられるようになるので、元気を回復できる可能性も大です。
そこの見極めが難しく医師も判断に窮するところなのです。
水は抜くけど栄養は戻す方法
水を抜いても肝心な栄養は戻すことができれば問題解決ですよね。
実は、まさにそのことが可能な素晴らしい方法があります。しかも保険適用です。
その方法を・・CART(腹水濾過濃縮再静注法)と言います。CART(カート)とは、Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapyの略語です。
抜いた腹水をフィルターにかけて細菌やがん細胞等を除去します。
さらにアルブミンやグロブリン等の“栄養分”は濾過して、再び点滴で患者さんの体内に戻すという措置です。
その名の通り、腹水を濾過し濃縮して再静注する方法です。
アルブミンというたんぱく質は、栄養を運ぶトラックのような働きをします。アルブミン値が維持できれば、元気に過ごせる方が多いので、試してみるのも良いですね。
この処置は手間がかかるため、効果的な方法とはいえ、忙しい医療現場ではあまり好んで取り入れられていないのが実情です。通える距離に実施病院があるかどうか調べる必要があります。
必要な方は、こちらのサイトで、全国でCARTに対応している病院を探してみてください。
胸水に関しても実施している病院も(少ないですが)あるようなのですので、探してみてください。
そもそも、腹水が溜まらないようにしたいので、その原因とされている「炎症」「低アルブミン(栄養失調)」「肝臓腎臓のダメージ」これらの対策が必要ですね。
アルブミン対策についてはまた別の機会に。
・三大栄養素(タンパク質、脂質、糖質)の摂り方
・免疫状態を改善するための腸内環境の整え方
・血液検査からあなたの細胞の栄養状態をのぞき見よう
・がんの原因はストレス!ーストレスと付き合う方法