前回、ビタミンAは粘膜の材料なので、ビタミンA欠乏だと
のどや鼻からの風邪をひきやすい
…だけでなく胃がん、大腸がん、子宮癌など粘膜と関係の深い臓器のがんになりやすいということを書きました。
[前回の記事はこちら ]
とはいえそもそもビタミンA欠乏だとポリープができやすいのです。
なぜならば・・・
ビタミンAは細胞分化を誘導する!
ある種の細胞が徐々に形を変化させることを細胞の分化というのですがビタミンAは細胞の分化を調節する作用を持ちます。
つまり、細胞分裂する時にきちんと同じ細胞になるように司令を出す訳です。
しかしビタミンAが欠乏すると細胞分裂が盛んになり、腫瘍性を帯びて来ます。
イボやポリープが出来やすい人っていますよね。子供でも。
悪性化すると「がん」になってしまうので怖いですね~。
がん治療への応用
ビタミンAはがん治療にも応用されています。例えば、急性前骨髄性白血病の治療には、分化誘導療法としてビタミンA誘導体が用いられます。
また、栄養療法では
- ホルモン感受性のある乳がん
- 消化器がん
- 子宮頸がん
- 肝がん
などに応用されています。
サプリメント選びの注意点
ビタミンAのサプリメントは確かに注意が必要です。
農林水産省も摂りすぎに注意と警告しており、とにかくビタミンAというと過剰摂取を心配されます。
特に妊婦さんは奇形を心配して注意なさっているはずです。実際はビタミンA欠乏で奇形になるリスクが高いはずなのになんだか矛盾した話ですよね。
ビタミンAの過剰摂取が怖いと思われるようになったのには理由があります。
ちょっとややこしい話になりますが・・・
ビタミンAは科学名がレチノール。
体内で、レチノール→レチナール→レチノイン酸と変換されて使われます。
上記した癌治療に使われているビタミンAは、最後のレチノイン酸です。日本で一般に錠剤でとっているビタミンAはレチノイン酸のことなんです。
自然の摂理とは素晴らしく、レチノールから必要なだけ変換して体内で利用されるのですが、不自然にも最終形態のレチノイン酸をいきなり入れてしまうとダメなんですね。うまくいかないんです。レチノイン酸からレチノールには戻らないので。
それで、体内でレチノイン酸が過剰になってしまうということが起こるわけです。
そうなると、腹痛、嘔吐、めまい、全身の関節の痛み、皮膚症状、奇形・・といった問題が発生してしまいます。
要は、過剰症を心配せずにしっかりビタミンAを摂りたい時は、変換される前の自然な形(レチノール)の状態で体内に入れれば問題ないということなのです。
そいうわけで、結論としてビタミンAのサプリメトを摂るなら天然のものを。合成はいけません。ということです。
安いものは、”それなり”なので怖いと思います。”天然”と書いていても、安価なものは材料の保存状態などが怪しいのでパス。脂溶性ビタミンなので、酸化していると害の方が大きくなります。
私は、天然のもので栄養療法で実績のあるものを選んでいます。
大切なのは質と量ですね。
自分の体が吸収できるかも重要。胆汁がきちんと出ていないと、Aのような脂のビタミンは吸収しにくくなります。
Aをとって黄色くなる人は、乳化されたもの(ミセル化)を使うとか、レシチンと一緒にとるなどの工夫が必要です。
更にいうと、ビタミンD3や亜鉛と協働していますので、これらの栄養素の補給も同時に考えていただきたいところです。
摂取量に関して
〇厚生労働省の「栄養所要量」
厚生労働省の定める基準値は、これ以下だと病気になる最低ラインです。
ビタミンAで言えば鳥目にならない程度ということ。
より健康的な状態を維持したいと思う人の基準ではありません。
1,800~2,000/IU
上限 5,000/IU
〇アメリカのFDA(米国食品医薬品局)推奨量
5,000/IU
〇栄養療法(病気の予防・治療目的の量)推奨量
10,000 ~ 35,000/IU
病気にならない程度の栄養基準と予防・治療目的では、基準値に10倍も開きがあるのですね。これは他の栄養素に関しても言えることです。
ビタミンAの多い食品は
吸収しやすいレチノールは動物性で、
・レバー
・乳製品(バター、生クリーム、生乳)
・ウナギ
・卵
などに多く含まれます。
植物性はカロテンで
油と一緒にとることで80~90%吸収されます。
・ニンジン
・カボチャ
・青シソ
たんぱく質が不足するとビタミンAの利用量が低下します。
たんぱく質と結合して体の必要な所に運ぶからです。
しっかりお肉や魚、卵も食べましょうね。
とはいえ…
正直、がん患者さんが、食事だけでビタミンAを十分補給するのは厳しいと思います。
良質のビタミンAはなかなか見分けが難しいもの。
あなたに必要な栄養素、また勧めのサプリメント情報を聞きたい方はご相談ください。