2017年9月から、福岡でも分子栄養学実践講座がスタートしました!
診療の現場で栄養療法を実践している先生たちとお食事する機会があり、情報交換をしあって大変盛り上がりました。特に興味深く感じた内容をブログでもシェアしたいと思います。
フェロケル信仰に関して
近年、鉄欠乏対策にはヘム鉄ではなくても、アメリカのフェロケルのようなキレート鉄で良いという事をFacebookなどのSNSでしきりに伝えているドクターなど、色んな方がいらっしゃるんですね。
私はキレート鉄には馴染みがなかったので、なんだか半信半疑でした。
確かにヘム鉄は高価なので、本当にキレート鉄で効果があるのであれば助かるな〜と思い、半年ほど自分で人体実験してみたんです。
ヘム鉄はお休みして、キレート鉄を利用することにしました。
・植物由来の鉄をキレート化したもの
・動物由来のヘム鉄
この二種類があります。(医薬品の鉄はどちらでもない無機鉄)
ヘム鉄は原料が高いのでどうしても高価になります。しかし日本では法律の関係でヘム鉄しか作れません(逆にアメリカではヘム鉄が作れないって聞いたけど本当かどうか確認できていません)
そんな訳で、最近は安価なアメリカのキレート鉄やフェロケルが人気です。
で、その結果がどうだったかと言うと、、、
私の場合は全然だめで、フェリチン値はちょっぴり上がったのに、昔の鉄欠乏性貧血の症状をことごとく味わう事になってしまいました。
生理で寝込んで1日仕事が出来ない
倦怠感が抜けない
普段も午後から眠くて仕事にならないのでお昼寝必須
やる気が出ない
頭が働かない・・・
懐かしい感覚ですが、目を細めて昔に想いを馳せるような穏やかなものではありません。
こりゃ参ったな〜と思い、再びヘム鉄を取り始めましたが、幾らか改善するのに二、三ヶ月かかりました。
(あくまでも私の場合は、という話です。キレート鉄で改善している人もいるんだと思います)
っていうか、キレート鉄とかフェロケルとかって、フェリチン値は上がるのに貧血症状は改善しないって、なんだかおかしい・・・
そんな話をしていましたら、
福岡市内で開業されているセフィロトクリニック栗田先生が、「ちょっと入ってもいいですか」と、会話に加わって下さいました。
丁度最近、キレート鉄とヘム鉄サプリの吸収経路の違いについての話を聞いたとのことで教えてくださいました。
私なりにまとめるので興味のある方は読んでみてください。
鉄は酸素を運び、代謝をサポートするので生きるのに欠かせない元素。しかし取り込みすぎると活性酸素を発生させる諸刃の剣なのです。それで、鉄の吸収は厳密に管理されています。
吸収の入り口はふた通りあり、
・ヘム鉄ゲート(HCP1)
・非ヘム鉄をFe2+に変換して取りこむゲート(DMT1)
いずれかから入ることになっています。
が、しかし、
人工的にアミノ酸でキレート(挟み込む)して害を少なくし吸収しやすくしてるキレート鉄は、このどちらからも入らず、別の経路から入ってしまいます。
どこから入るかというと、アミノ酸に包まれているから、アミノ酸の入り口から入り込みます。
アミノ酸を吸収するのってどこだと思いますか?
それは、、、小腸なんです。
本来なら、鉄は必要ないときは吸収されませんが、アミノ酸の形で入ってくるとスルっと入ってしまいます。しかも非ヘム鉄のままで。(普通は変換されてFe2+になって細胞内に入るのに、自然ではないことが起きてしまうんですね。)
結果的に、検査をすると確かにフェリチン値は上昇し、数字だけ見れば鉄欠乏は改善しているように見えます。
しかし、場合によってはスルッとどんどん鉄が入ってしまった事で炎症が起きてしまうんです。
フェロケル鉄を推奨するドクターは、「ヘム鉄ではフェリチン値が上がらないのに、フェロケルだとどんどん上がる!」とフェリチン値が100超えてる患者さんをご紹介されていますが、、、
あれって、炎症ですよね;
な〜んて話をしていました。
すいません。マニアックな話を長々と。
何しろ、SNS上では、それぞれ「自分が正しい!」と主張していて、それを見る方は、結構まともに信じてしまうんですよね。
栗田先生を驚かせたある患者さんは、生クリームが主食になっていたそうです。大真面目にがん対策になると思っていたようです。
これもやはりSNSが主な情報源となった行動。(極端に受け取ってしまったのか??先生も本当に推奨してるのか謎です)
他にも、がんにならないようにって、がんになってないのにゲルソン療法していて、(厳格な玄米菜食、人参ジュース、塩抜きなど)結果的に立っていられないくらい弱ってしまわれた方・・・とか。
そんなことしてたら栄養失調でがんになりそう。
これって、本当にあるあるで、SNSにしきりに投稿する方の信者のようになって、偏ったことを大真面目に頑張っている人、サプリを飲みまくっている人って少なからずいらっしゃいます。
極端な事でも、その人が言うなら良いことのような気がして、自分の肌が黒ずんできている事にも気付かなくなります。
良い所しか見なくなっていて、まるで洗脳されている人のようですよね。怖いです。
分子栄養学による栄養療法は個体差が大きいため、一人一人対策が異なります。
ですから、ぶっちゃけカウンセラーや医師でさえ、その人にとって何が正解か最初からわかっている訳でもありません。あたりをつけてやってみるしかないのです。トライアンドエラーの繰り返しで少しずつ正解に近づけていく感じです。
もちろん、自分で試行錯誤することも必要ですが、極端に走らないように気をつけていただきたいな〜〜と強く思います。良かれと思って頑張ったことで逆に体を壊しますから。
度々教わることなのですが、分子栄養学で必要なのは、俯瞰力を身につけ、森も木も同時に見ること。つまり、全体を把握することで偏らない見方を身に付けることです。
誰かがこう言っていたとか、ネットにこう書いてあったとか、あの本にはこう書いてあったとか・・・情報の海に溺れてしまい何が本当なのかわからなくなっている人が多いです。
情報の選択能力や判断力が求められますね。
少なくとも、特定の情報発信者の「信者」になって、洗脳されていないかどうか、自分を振り返ることって大切ですね。
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