宝石には天然石もあれば合成もありますが、天然でなくても本物に見えるステキなジュエリーだってたくさんあります。
実はサプリメントも天然の物もあれば、合成(石油系など)の物もあります。
サプリメントも見た目では天然か合成かはわかりません。でも体に入れるものなので、きちんと理解した上で判断したいですよね。
殊、がん患者さんなど、持病をお持ちの方であれば、通常よりも多くの量を摂取する事がおありのはずです。そうであれば、沢山摂っても体に負担のないようなものを選ぶ目は非常に重要です。
今回はサプリメントの原料にフォーカスして良いものを見分けるコツをまとめてみますね。
メリット・デメリット
サプリメントの材料には、科学的に作られた「合成原料」と、野菜・果物から抽出された「天然由来の原料」があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
●合成原料
安価に高濃度を摂取しやすいというメリットがありますが、不純物混入のリスクもあります。
石油系のものもあり、摂り続けるとかえって害になるものもあります。
●天然原料
食材に自然に含まれる微量元素も同時に摂る事ができるため、吸収率や体内での働きの面で合成品よりも優れています。
ただ、価格が高くなり、高濃度に摂る事は難しくなります。
一概に合成がダメとは言えないのですが、合成にしても天然にしてもやはり原料の質と価格は比例しますので、あまり安価なものはお勧めできません。
例えばビタミンC…
風邪の時に一日何度もビタミンCを1000mg摂ったり、がん患者さんなら高濃度ビタミンC療法でさらに大量摂取します。
そんな、栄養療法に欠かせないビタミンCですが、現在その原料は95%が中国製だそうです。(日本国内では製造されていません)
中国にも信頼できる管理体制の製造工場があり、医薬品のビタミン剤の原料なども作られているんです。
とは言え、品質レベルの低い工場で製造されているものもある訳です。品質によって価格が1000倍近く違ったりもするのです。
そう考えると同じようにビタミンCと表示されていても原料が分からないので、まずは判断材料は価格ということになり、安価なものはコワイな…ということになるのです。
なんちゃってビタミンの問題点
ビタミンを化学合成する場合、化学構造は同じでも微妙に違っていたり”ねじれ”が生じたりします。また、難しい表現ですが、化学構造がそっくり反転している分子ができてしまい、「なんちゃってビタミン」になることがあります。
これはいわゆる不純物なので精製して純度の高いものを作るのですが、その面倒な作業をどこまでしっかりやるかは製造者次第です。そこが値段の違いになっていると思って良いでしょうね。
「一日1000mgのビタミンCを補える!」と謳われていサるプリメントが、お菓子のように数百円で買えると便利に感じるかもしれませんが、実はその中に「なんちゃってビタミンC」も含まれる可能性が…。
もし、この「なんちゃってビタミン」が体内に入ると、本来の目的を果たせないだけでなく、場合によっては体の正常な働きを阻害してしまうことになります。
また、体にとっては使えない異物なので、腎臓で濾過して排泄しなくてはいけません。安いサプリを沢山摂り続けると、濾過に追われる腎臓はオーバーワークで悲鳴をあげることになります。
健康のために飲んだはずが、場合によっては病院行きです(@_@;)…そんなのトホホですょね。
合成・天然―表示での見分け方
再度申し上げますが、合成が全部ダメ~と言ってる訳ではありません。質の良い物なら、合成の方が安価に大量摂取できるわけですから確かに魅力的です。
(ビタミンB群は大抵酵母が原料なので、カンジダ菌などの問題で酵母を体内にあまり入れたくない人は、むしろ合成が良かったりもします。)
成分表示で天然と合成を見分けるのは簡単です。
◇天然:原料の欄に野菜・果物の名称が記載してあります。
キャベツ
アセロラ
小麦胚芽…
という感じですよね。
◇合成:栄養素の名称そのものが書いてあります。
ビタミンC
ビタミンB2
ビタミンA…
ぜひ、「原材料表示」「栄養素配合表」などを見る事をクセにして頂きたいと思います。
特に「栄養素配合表」は表示義務がないのですが、サプリメントの性能や品質を知る上で欠かせない情報です。この情報がわからないものには手を出さない方が無難と言う事になりますね。
ネット販売やラジオ・テレビで販売されるものはこの確認が難しいので、購入となるとコワイな~と思っちゃいます。売れているからとか、有名メーカーだからというのは判断基準にはなりませんね…。
中身の確認が難しいサプリメント。
だからこそ製品選びは慎重になるべきです。まずはちゃんと表示を見る習慣を持ちましょう。
とは言え、自分に必要な栄養素を見分けるのって意外と難しいことです。そんな時は、サプリメントアドバイザーに相談するのも良い方法ですよ。
※参考資料:サプリメントの正体 田村忠司著 (東洋経済新報社)